ハッカーと画家
またひとつ名著に出会った。
この著者はLispハッカーで、Lispで構築したショッピングサイト作成ツールの会社を作り、いまはそれはYahooに買われたのでこの人はリッチになった。で、その高みからいろいろと偉そうなことを述べているわけだが、実際偉いのだからそれはまったく気にならない。
人種が僕と近いためだろうが、ソフトウェア書きとして日ごろ気になっていることについて鋭い言及がある。数学者への漠然としたコンプレックス、プログラム言語がどれだけ創造性を刺激するか、ベンチャー企業の社会的意義、など。特に前半には鋭い論説が多く、しばらく時間をおいてからもう一度読み直しておきたい。
たとえば、オブジェクト指向のいわゆるデザインパターンの批判についてはこんな具合。
もしそのように繰り返し現れるソフトウェアの構造があるのなら、それは抽象化が不十分であることの証拠であり、適切なライブラリでその機能を提供すれば除去できるだけのことだろう(要約)
確かに一理ある。
なお、「人種が近い」のは確かだが、宗教は異なる。自分は静的型付言語の信奉者なのでLispやPythonに肩入れするのには同意できないが、多くの部分で彼の考え方には感銘を受けるし、将来これくらいのことを正々堂々と言えるような立場を目指したい。
金を稼ぐ以外の目的で一度でもソフトウェアを書いたことのある/これから書こうと思っているすべての人にお勧めできる本だ。
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