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2005.08.02

羽生善治「決断力」



 これを読んだきっかけは、以前読んだ梅田望夫氏のこのblogである。インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞、というのは確かにどの分野にもおきていることであろうと納得した記憶がこびりついていたので、一つ読んでみたというわけである。
 ただ、ゴーストライターがへまをしたらしいとの指摘などもあり、あまり褒められた本でもないみたいだが、最終章「才能とは、継続できる情熱である」だけはなかなか示唆に富んでいる。

 上の高速道路の例にもあったように、今やPCとインターネット接続さえあれば情報面での格差はほとんどなく、その世界の最高峰が割と簡単に手に入る。著名なオープンソースプロジェクトを覗けば大規模なソフトウェアのスマートな構造が学習できるし、ゲームをやれば最高レベルのプレイヤーがどのくらいなのかがすぐわかる。
 これが昔だったら、「学校で一番プログラミングができる」「街のゲームセンターで一番の実力」といったくらいで割と大きな満足感が得られたわけだが、今はいきなり遠くの先端が見えてしまうのでそこまでついていこうとする気力を出すのが大変になっているというのは納得できる。

 要するに世の中の見通しがよくなりすぎた弊害ということで、ちょっと前話題になった希望格差社会の話と繋がってくるわけだ。個人と世界がいきなり繋がり、中間の共同体の存在感がどんどん薄くなるのがネット社会の特徴であり、弊害もあるもののこの流れを止めることはできそうにない。

 ここまで書いて気づいたが、嫌韓流に反感を持ったのはそういう共同体意識を押し付け、「日本人」「朝鮮人」という人格が存在するかのように描写しているという理由も大きいな。いまやそういう民族意識よりも、個人が社会に対して何ができるか/したいかを考える方が楽しいでしょ?

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コメント

たしかにもっともな意見だと思います。僕もそう願いたいですが、相手がこっちを嫌ってるのにその人を好きになるのは難しいことで、たいていの人はそれほどお人好しでは無いと思います。だから、そもそも文化が(近いようで驚くほど)違うわけだし、そういう民族意識が生まれるのは正しいと思いますが。

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