iPadを使い始めて1ヵ月強。
現在製作中の相場用アプリも主力機能は8割ほどでき(工数的には8割だが微調整はいろいろあるのでスケジュール的には5割くらいか)、残っていた最大の難所を昨日から今日にかけて突破したので、いまの感想をまとめてみる。
●本格的なアプリを作るのは大変
これはiPad固有というわけではなくiPhoneでもそうだが、「iPad/iPhoneアプリとして胸を張れるレベルのUI」を作るのは、「Windowsアプリとして胸を張れるレベルのUI」に比べてすごく大変である。軽く3倍は時間がかかる。これは別にAppleが開発ツールを手抜きしているからではなく、
* Windowsはもともとデスクトップに複数のアプリのウィンドウを並べる設計である
* 従ってUIはかなりの部分まで標準化されており、アプリもそれに従うのがデスクトップの美観の観点から正しい選択であった
* ガリガリとアニメーションをするようなカルチャーが幸か不幸かWindowsアプリでは育たなかった
といった要因による。
しかしiPad/iPhoneでは画面を1つのアプリで占有する上、ちょっとしたもの表示するにもアニメーションやフェードインするのが当然のカルチャーが定着したため、凝ったUIでそのアプリの世界観をユーザに十分に体験させるようにしないと満足が得られない。
この「凝ったUI」というのがなかなか大変。凝りすぎれば味が悪くなるし、素朴すぎてもダサいし、ある程度出来上がった後でも、本気で磨きをかけはじめると永遠に作業が終わらないところだし...。これはまだまだ修行が要る。
●家庭内でのコンピュータの使い方が変わった
アプリ開発者としてだけではなく、もちろんユーザとしてもバシバシ触って、もう何十個もアプリを買いました。(相変わらずゲームが主力コンテンツなのは仕方ないところだが)
それで一番変わったのは、家の中でコンピュータを使うのが、「PCの前」から「家中どこでも」になったのが大きい。家庭内だと、PC自体はノート型であっても家の中で持ち歩いたりはしないものだけど、iPadならそれができる。なのでベッドの上でゴロゴロしながらWebを見る、というのがたいへん自然にできるようになった。ベッドの上で寝る前/起きた後に携帯いじっている人は多いと思うけど、こういうときの用途は確実にiPadが置換できる。
あと、気づいたら妻がiPadを台所に持ち込んで、検索したレシピを表示しながら料理してた。こういう使い方はiPadで初めて可能になったといえる。
この路線だと、テレビやDVDプレーヤとの連携がビシッとできるようになるとさらに強力。家の中のリモコンが一掃できるとすばらしい。
●PCの素人でも使える
僕の母はPCはまったく使えず、携帯のメールもできないのだけれども、試しにiPadを渡して、
* 指1本で移動
* 指2本で拡大縮小
とだけ教えたところ、以前行ったというインドの街を探すことに成功していた。これはかなり革命だと思います。やっぱキーボードは敷居が高い。キーボードというのは、シェルがUIの基本だった時代、あるいはN-88 BASICが
How many files? (0-15)
と出してきた時代の遺物でしかないと思いましたよ。僕のような人種はキーボードが人体の一部といえるほどまで一体化してしまっているけど、一般人はそうではないからな...
もうすぐ1歳半の娘もそろそろ言葉も話しはじめたので、iPadを中心にコンピュータに触れさせていきたい。
こんな感じで、iPadはPCと携帯の中間の地位を確実に占めるでしょう。電子書籍がどうこうというのは単にアプリの1つのジャンルでしかない。
数世代先のiPadはPCが不要なくらいに進化してくれると思いたいが、テラバイト級のストレージはPCじゃないと無理なのでここをどうするかは今後のテーマかな、と思います。
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