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2011.04.11

日本のイタリア化

 日本では、政権を批判する言葉として「長期的ビジョンが欠けている」というのがよく使われる。
 僕はそれに対し、今時そんなのあるわけねーじゃん、と思っている。国が一丸となって一つの方向に進むのがよく機能した時代はとうに終わっている。特にインターネットの普及後は、国ではなく各個人がどう生きるかを自分で選択するのが基本であり、国は最低限のインフラを提供すればよいと思っている。

 しかも日本は衰退過程にあるのは明らかなので、いっそうこのビジョンを示すのは難しい。ビジョンの欠如をもって政権を批判するのは、できっこない課題を与えつつそれができないことを理由に攻撃するというたいへん卑劣なものである。

 ところでで、今日ふと
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100730 これを思い出した。有名なブログではあるが、これは非常に印象的でよく覚えている。

 震災後、いよいよこの路線が現実味を帯びてきた気がする。まあこれを国家ビジョンというのは無理があるが、現実的にはこうなる可能性はかなり高い。

 今の日本に足りないのは、衰退の途中であることを認める覚悟だ、というのは強く同意する。いまのイタリア人の栄光はローマ帝国の時代であり、そこから実に2000年近く衰退しっぱなし(第二次大戦ではちょっと勢いづいたが結局ドイツの足をひっぱっただけだしな!)なので彼らに学ぶべきである。

 そんな中、光明があるのはここ。
> (国家ブランド)強い。“イタリア製”“日本製”という言葉には独特の付加価値がある

 もう単純な価格や性能で世界と競争するのはやめ、独自の価値観を提供すべきだ。具体的にどうするかというと難しいが、今後の僕のソフトウェアづくりの方向性を考える上ではかなり重要なデザイン上のポイントになりそうだ。もちろんこれを追求するなら短期的な売り上げは捨てていろいろ試行錯誤する必要があるが、かなり真面目に考える価値のありそうなテーマである。

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コメント

各人の独創性の基盤には湯浅氏の言うような
"溜め"という見えない資本も大事なのではないでしょうか。これを国家がうんぬん、とはさすがにいえませんが、自由競争でハッピーじゃん、といわれるとこぼれる人も多い。
 地域主義といわれていますが、近いところからのきっかけがぽつぽつと生まれ、見出され、つながるり、広がるという、狭い領域と、リアルとネットの関係性が深まる方向になればいいのですが。多いであろうと思われる人々は"生き方"のきっかけがたたれて孤立していることが多いので、動くのに一苦労なのです。ここにを各人の対立軸とするのではなく、さまざまな現状をいかに乗り越えてゆけるか、という共有を軸とした対話路線になればけんかもせずにすむのですが。孤立というとセンセーショナルですが、きっかけがつながらない、見出せない、と言えばわかりやすいかと思います。

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