執念深さ
どんな分野でも、成否がアイデアとモチベーションにかかっているような仕事をする場合、もっとも大事な要素は執念深さだと思うわけです。
少々の失敗ではたじろがない心がないとやってられないので、手がける分野が好きでないと。いくら失敗しても執念深く継続するためには、好きな分野であることは必要条件。
ソフトウェアというのは道具なので、何のための道具なのかというのが常につきまとう。純粋にコンピュータの世界で閉じているソフトウェアは例えばOSとかコンパイラとかVMとか仮想化環境とかだけど、それはソフトウェア全体からみればごくわずかな世界で、ほとんどのソフトウェアは「ソフトウェアの世界に生きていない人」が使うためのものである。
なので、良いソフトウェアを作るためには、そのソフトウェアがターゲットとしている世界もよく知っている必要がある。
プログラマとして優秀だが会計は素人、という人が会計ソフトウェアを作ってもろくなものにならないのは容易に想像できるけれども、実際の世界ではそういうのばかりである。
知らない分野のソフトウェアを持ち込まれても機能の良し悪しを判定できないし、ましてや自分でアイデアを思いつくことはできない。同様にユーザの目からみても、基本的なところから説明しないと要望を伝えられないので無駄が多い。
僕の場合は、トレーディングツール(しかも最初はクライアントサイド)を選択したのはそこが大きい。自分がよく知っていて、かつ興味ある分野なので、
* 機能のデザインを他人より(少なくとも相場を知らない人よりは)よくできる自信があった
* 既存のツールには「つけいる隙」がたくさん見えた
* もしデザインに失敗したり、他社に時期的に先行されたりしても、別のアイデアで挽回できそうな気がした
* ビジネス面でベストな結果にならなくても、自信のある分野で勝負して敗れたならそれはそれで満足感はありそう(失敗の理由を、不得意分野で勝負したから、としたくはなかった)
という要因がこの分野にチャレンジした理由である。そしてなにより、「成功・失敗にかかわらずやっていて楽しそう」なのがポイント。
大きなプロジェクトをイチからやるには最低3年はかかるので、新しいことにチャレンジできるのは20~40歳の20年と考えると、チャレンジの回数は多くとも6~7回となる。人生全体で6~7発しか持っていない弾丸をここで発射できるか?というのは大きな決断をするときにいつも考えることです。
今日はこのへんで。次はお金の話をしようかと。
あと、今のシリーズは、トレーディングのツールを作るというテーマでは自分の仕事はあと3年かそこらで収束できそうな見通しが立ってきたから書いているものです。(もちろんちっとも収束しない可能性もあります)
次は全く新しい分野にチャレンジするつもりで、徐々に勉強を開始します。
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コメント
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定年退職して1年になります。子供のときに特訓されたピアノを大人になって再開して今年で10年を越し、発表会で少しづつレベルアップして、今年はベートーベン晩年のソナタ31番フーガに挑戦しています。超難しい曲で今年の1月から練習を始めたときは、曲から相手にされない、はじき飛ばされる思いをしました。毎日30分練習し、この2月でようやく3ページ目に進むことができました。まさにこのテーマのとおり、執念深さが大切と思います。話はかわりますが、株を始めて1年、100万円から初めて、今年の利益はわずか2%でした。やっちゃいけない場中での売り買いが原因で、反省することしきりです。
ある本で、トレードステーションを使ったシステムトレードを知りました。勉強を始めましたがパッケージが古く、値段が高いことがわかり、考え方のみ身に着けて、ほかの無償パッケージを探すこととし、今Tacticoを第一に、Protraといずれにするか検討しています。お話が面白いので今後少しづつ拝読しながら、執念深く勉強していきたいと思っております。今後もよろしくお願いします
投稿: hidekun | 2015.02.11 22:38